父が亡くなったとき、もう一人の人と二人で病院に遺体を迎えに来てくれたのは、葬祭ディレクター1級のAさん、若い男性でした。
私も葬儀場まで一緒に車に乗って行ったんですが。
病院から渡された、父の私物が入った手提げはけっこうな重さでしたが、Aさんが「持ちます」と言って、葬儀場の中を移動するときも、ずっと持って運んでくれました。
ところで、病院から葬儀場までは、車だと20分かかるかかからないかくらいの距離です。
病院に自転車を置いて行っていたので、葬儀場内に遺体を安置して、いくつか話をした後、帰りはAさんが車で病院まで送ってくれました。
電車だと乗り換えがあって、駅からも遠いので、とてもありがたかったです。
まあ、カーナビを見ながらだったにもかかわらず、一度病院を通り過ぎ、Uターン後、また通り過ぎそうになったりしましたが、そこの病院は系列の建物がいくつも並んでいてわかりにくいし、知っている私もとっさに伝えられなかったので、おあいこです。
病院の前で降ろしてもらい、感謝の気持ちで見送ったんですが…
家に帰ってから、父の私物を受け取り忘れたことに気づきました。
後日また打ち合わせがあるので、そのとき返してもらえばいいと思ったんですが。
その日、そのことを言うと、彼は「あっ!」と声を上げました。
なんとそのときまで忘れていたらしく、しかも彼は、その葬儀場の職員ではなく本社から来ている人で、本社に置いてきてしまったと。
さらに、彼が葬儀場に来るのはその日が最後だそうで、「納棺の儀」のときに担当の人を通して受け取れるようにしておくと言われたのでした。
父の私物だというだけで、特に大切なものが入っていたわけでもないので、別にいいんですけどね。
実際、ちゃんと受け取れましたし。
(次回、Bさんのエピソードにつづく)